About
 常に怜悧な表情を崩さず、透き通った肌と艶のある髪を靡かせるその様は、見る者に感情がない人形なのではないかと思わせるほどだ。黙々と仕事をこなす姿こそ見る者の目を奪う美しさがあるが、彼女を知る者は間違っても声をかけようだなんて思わない。

 ――植物女。

 同僚は彼女をそう呼ぶ。
 刑事の仕事を長年してきたベテラン刑事でさえ表情を引きつらせるようなことを無表情で、冷酷かつ無慈悲に平然としてのけるのだ。

 幼少期の頃、親にさえ感情の表出を見せなかった彼女は、女の子の遊びに混ざっておままごとをしたり、男の子に混ざって駆けまわったりといった年相応の子供の遊びには目もくれなかった。代わりに植物や動物、ひいては人間を観察しその動向や生態を探ることに興味を持っていた。
 自分以外の他者、存在がどのように思考し行動するのか。
 それは彼女にとって理解の範疇外であり、好奇の対象であった。
 そうして他人に気味悪がられながらも万象を俯瞰し続けたからか、彼女の精神は誰よりも早く自己から乖離していくことになる。否、最初から彼女の中身は空っぽだったのかもしれないが……


 中学では不気味な存在としてイジめられたこともあったが、殴る蹴るをしても痛がらないどころか、虚空を捉えるような視線で見返され、不気味に思った同級生はすぐにイジメの対象を変えた。以来ひとりで過ごしているが、寂しいと感じることもなければ辛いと思うこともない。

 彼女は、それが人間という生き物の業であると理解していた。

 仲間という枠組みから外される不安や、思春期特有のストレスから孤独を嫌い、群れて行動することで強者の威を駆り心の安寧を得る。自分をイジめてきた少年少女はそうすることで、心の弱さを悟られないために強く見せているだけにすぎない。そこに好意もあったのかもしれないが、好意の裏に潜むのは打算や下心といった、醜い感情でしかない。そんな醜いものに蝕まれている彼らのことを、かつて自分の手の中で殺めてきた矮小な存在たちと重ね合わせてみていた。

 そうして思春期に彼女は人間の在り方を早々に定義し、自身の興味の対象から外した。

 そんなあるとき、両親が強盗犯に殺された。
 不幸にも淘汰された両親もまた、弱い人間だったのだ。 
 同様に、自身もまた――

 家族という枠組みが亡くなった途端に分かりやすく崩壊していく生活の中で、自身もまた人という枠組みの中に捕らわれ、逸脱することが出来ない弱い存在であることを理解する。

 そんな自分の面倒を甲斐甲斐しく見てくれた男がいた。その男に「生き方を学ばねば死ぬぞ」と助言をもらい、司法の下で権力を行使する警察――猟犬には成り下がるが、狩られる存在よりはマシと考え警察になることを決意する。

 同じソシオパスの犯人たちの思考を読むのは、彼女にとって容易であった。そのことから若いながらも上司の命令を無視し検挙率に貢献。周りからは煙たがられる存在であったが、有無を言わさぬ成果をあげ、的場 元をはじめとする周りの理解者によって支えられ、警察内での地位と居場所を確立していったのだ。


Profile
性別    女性
職業    警視庁捜査一課
身長    165cm
体重    59kg
血液型   B型
年齢    32歳
誕生日   10月16日
好きなこと 観察
嫌いなこと 淘汰
性格/特徴   怜悧 寡黙 ソシオパス

Illustrater

Scenario

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